実行日の先日の朝、出勤するレイの気持ちは不安でしかたったなかった。
‘拒否’されても仕方がない事だと覚悟もしていた。

 エスカレーター普段と同じ顔で近づくレイの瞳は本当は少し揺れていた。
 
 しかしティーロは、帽子のつばを‘直すように撫で’てしっかりとした敬礼をレイに向かって見せた。

 レイ自身は普段を装っているが、ティーロをしっかりとした瞳で見据えた。
 
 それだけで、レイの気持ちを察した。
 警備員は、元とはいうがやはり“傭兵”だったのだ。
 
 
 レイも普段通りに三階で、指紋の照合をして四階へ行く。

 こんなにも嬉しくてて叫びたくても、見られている場所はきちんと自分を隠し通す。