アザムに抗体とアンプルを接種し終えたレイは、ジェイコブの居る奥の社長室室に行く。
 
 今日の天候は良く遠くからでは、窓近くのジェイコブの姿が少し見えにくい。
 もちろん何事も無かったような、あの無表情の瞳で社長室に入り一礼をしジェイコブに近づく。
  
「少々注射は苦手だとかで時間は掛かりましたが、今終りました。面倒なので“二日は暴れてはいけない”と言っておきました」

 そしてついでに‘そろそろ寝てもらっている‘事もわざと伝えておく。何の感情も無いとジェイコブ思わすために。

「あちら側は四日後で、了承してきましたか?」

 レイがそういうとジェイコブはここら一帯の地図を広げ、一つの場所を指す。
 
「ああ。その日の昼過ぎにここを出れば夕方以降に十分おち合える場所を指定してきたよ。良く取引に使う場所らしい」
「了解いたしました。こちらもそれくらいの方が、いろんな意味で連れ出しやすいので好都合です」
 
 レイは思い出したかのように、違う話題の報告をしておく。

「後、朝の会議で新薬の原液が開発段階を終えそうなので、出来を確かめたいと言ってましたよ」
「“大きなマウス”も検討しておくのも悪くないな……」
「こちらももうすぐ片付くでしょうから……私もお手伝いいたしますよ」

 冷たい瞳と微笑みえを一度見せるて報告を終えると一礼をジェイコブに見せ部屋を出る。