ベリルはアザムを抱きしめるレイの姿を見る。

「まあ、せいぜい試行錯誤しながら生きてゆく事だ……仕事は、私がよく利用する病院を紹介しよう」
「ありがとうございます」

 レイは深々ともう一度頭を下げる。

 死ねないベリルは、これからのレイの監視役として……との強調もある。

 開発という分野には携わることをさせずに“医師”という命に関わらすのは、もう一つの罪滅ぼしと考えての事だ。



 そしてその後にベリルはティーロにも一つの提案をする。

「さて、ティーロには今回、私が雇った傭兵として私が報酬を払う。私への報酬はこのレイからの報酬で十分だ」
 
 そう言って、宝石の入っている革袋を見せる。

「ベリル殿それはどういう事で?」
「ん? お前は今回よく働いてくれたと思う、ああ、そして限界は自分で決めてはいけない」

 ベッドの上で眉をひそめるティーロの姿。

「知識は相当だと私も知っている。それにお前の信頼は相当なものだぞ? お前が嫌でなければ、新人達の教育係に戻っては来ないか?」 

 ティーロにダルコからあの後“慌てた様子と切迫した感だけは伝わった”電話があった事を苦笑いをしながら付け加えた。


「わしで良いなら引き受けたい。いや貴方の言葉なら引き受けるべきだと思えた――」
「くくっ、それはありがたい言葉だ」

 ベリルは小さく微笑みを見せる。