ぱたぱた



私は小走りで図書室へ向かう。



今日は図書当番だったのに、忘れてたー!



図書室まで伸びる直線の廊下。右側の窓からは昼下がりの光が降り注ぐ。ここは私立緑先高校。



私は黒に白のラインが入ったスカートのプリーツを乱しながら、ガララッと図書室のドアを思いっきり開け放した。




静寂の図書室の中で読書を勤しむ生徒たちの目がばっと集まる。




「・・・静かに。」




図書室入り口にある、カウンターの向こうから郁美(いくみ)が親友とは思えないほどの冷たい声を飛ばした。