ここには何艘か船があった。
一番丈夫そうな船を選んで乗り込んだ。
とはいえ、モーターは壊れ、手で漕ぐほかない。
目で見た距離と、実際の距離は違うもので、近くに感じたアフリカは思ったより遠かった。
交代に漕ぎ続けること五時間、やっとの思いでアフリカにたどり着いた。
しかし、やはりさっき見た通り雪に覆われていた。
船から荷物を下ろし、上陸すると嫌な音がした。
9人は衛兵に囲まれ、銃を向けられた。
怪しいものではない。と必死に説明しても効果はなかった。
そのまま逮捕され投獄された。
衛兵は9人を同じ牢獄に入れた。
投獄者の持ち物もろくに調べないずさんな管理だった。
9人はその夜、容易に脱獄できた。
なぜなら、監守が鍵を手にしたまま、牢獄の前で眠ってしまったのだ。
彼らは脱出し、できるだけ遠くに逃れた。
内陸に行けば行くほど、雪は減っていった。
しかし今度は砂漠が広がっていた。
水を求め9人はたまたま見つけたオアシスに立ち寄った。
またしても、取り囲まれてしまった。
今度は、槍を持っている。
明らかに服装や装備が違うことから、さっきのやつらとは違う勢力であることがわかった。
縄で縛られ、樹で作った、お手製の檻に入れられた。
彼らには英語は通じなかった。
そこで、ロビンソン氏はフランス語で彼らに話しかけた。
フランス語はわかるようだった。
ロビンソン氏が聞いたところによると、彼らの部族は政府と戦争状態にあるらしい。
アフリカでは、こうした政府と反政府の戦いが各地で起こっているようだ。
彼らの中の一人が言うには、この内紛は西洋人のせいだと……。
各国の政府を仕切っているのは西洋人らしかった。
そのため、彼らの反西洋の心は凄まじかった。