夜の通り。

まるで、誰もいないかのような独特の雰囲気だった。


高い建物は変に威圧感があり、少し恐ろしかった。
だが、今はそれ以上に男達が恐ろしい!ユウは必死で走る。足に水滴がツーッとたれた。

なんだ?と思い見てみれば。

「……血……」

傷口は、走れば走る程、開いていった。


そして自分はとてつもない汗を掻いてることに気付いた。
頭がふらふらしている。

よろめく体を壁に寄りかからせる。ふとユウの目の前に飛び込んだものに一瞬全てを忘れてしまった。

「あ………この店……」


そこは、初めて彼が俺にプレゼントをくれた店。

寒いと言った俺にマフラーを買ってくれた。



今は閉まってシーンとしているが、ユウの目には温かい光が見えていた。

ガランとした店内。雪。


そして。