そこは、寂れた町だった。

もう少し前まではこんなにも陰気くさい事もなくもっと明るい町だったと言うのに。
どこかのお偉いさん方が、戦争ごっこなどを始めてしまって。

酷く町も人も荒れていってしまった。

生きるために人を騙し物を盗み。汚れていく街並みに人々は諦めの溜息を吐くしかなかった。


そんな町に飽き飽きした二つの一家が、どこか遠くで暮らそうと山の中へと入って行った。



春の出来事だった。