先程のテーブルに付くと俺達は向かい合わせで睨み合うような姿勢だった。

だが、ネオードはスッと手を延ばすとコポコポとワインをグラスに注いでいく。
俺は目の前の湯気に新しく継がれたミルクに気付いて、一口飲み込んだ。

二人で一息をつき、ネオードはさっそく本題に入った。



「あいつを、知るのには。初めから話さなきゃならないな」

「初めから?」

「そう、俺達の『過去』だ。」

ネオードは、ぐいっとまたワインを煽る。
ザルなのか顔色一つ変らない。

「そこに、お前が知りたがる謎も隠されている……」


ゴクリと生唾を飲んだ。
俺は静かにネオードの言葉に耳を傾ける。


彼はどこか遠くを見るような瞳で。



「そう、あれは今から丁度20年前の話だ……」




自分の影が映る赤いワインを見つめながら、過去の話をしだした……。