優しくしないで。
これ以上混乱させないで。


頭がぐちゃぐちゃになって、俺はまた泣き始めた。

彼はベッドに腰を降ろすと俺の頭を撫でてそっと引き寄せると顔を胸に押し付けるようにして俺を泣かせた。


どれが、本当の貴方なの?
どうして、優しくするの?
どうして、俺をこんなにも追い詰めるの?


しゃくりあげる俺を彼の手がポンポンと落ち着かせるように背中を叩く。


「Wood and clay will wash away,
 Wash away, wash away,
 Wood and clay will wash away,
 My fair Lady.」


リズムに合わせて揺り篭の様に動く体。
昔、毎日のように歌ってくれた子守唄。


自然と、涙が枯れて。彼に身柄を預けている自分がいた。
俺はきっと。頭がおかしいんだ。


あんな事までされて。それでも彼を求めている。



すりっと猫のように彼の腕に擦り寄ってみた。
彼の手がびくりと反応したけど。次にはキツク俺を抱き締めていた。