カイトの事を考えると急に行かなくなってしまって、凄く心配されていると思う。
申し訳ない気持ちがじわじわと浮かぶ。
街に行きたい。でも、そんな事彼に言えるはずもなく。


俺は自分の身体を見た。

包帯は殆ど取れて残るのは腹の傷くらいだ。自分でも触ると痛い。
まだ上手く歩けない状態だ。


これではどちらにせよ街には行けない。


パフッとベッドに横になる。

これだけ眠っているとあれは嘘の出来事のようだ。

夢の中で出来た事。

傷も目立たなくなれば尚の事。



だからなのか、今傍に彼でもいいからいて欲しくなる。



酷く、酷く。
寂しい。



一人、一人、一人。


暗い中。俺はただ一人どこか知らない場所で蹲って泣いている。
一人にしないで。ねえ、俺を見つけて。


「ユウ」


綺麗な手が俺の頭を撫でた。




「ユウ、どうした?怖い夢でも見たのか?」


ハッと目を覚ました。彼が俺の頬を撫でている。
涙が俺の顔を濡らしていた。どうやら、うたた寝をして昔の夢を見ていたようだ。

そう、暗闇で出会ったのは。

「寂しかったか?」

この真っ黒な男