ガバリと起き上がる。
息が酷く荒かった。

ゼェゼェと呼吸を繰り返し、顎まで伝って来た汗をぐいっと拭った。
辺りを見渡すと、そこはいつもの地下だった。

(俺、いつ眠ったんだろう…?)


俺はとにかく優しく撫でられる事に弱いらしい。すぐに気持ちよくなって眠ってしまう。
これから気をつけなくてはと心に誓う。

ベッドには一人きりで彼はいなかった。

「夢で…よかった…」

まだ心臓が高鳴っている。でも結構、非現実的だったと思う。
俺はプルプルと頭を左右に振った。


俺はベッドから抜け出すと彼を呼ぼうとして、足が止まった。


「……今、何か聞こえた?」