ベッドの中で俺は眠っている。
仰向けになって両手を胸の下で組んでいる。
規則正しい呼吸を繰り返す。


すーっと空気を吸う音。
カタンッ
と何かが落ちる音。
スーッと同じような音で空気を吐き出す。
カタンッ
また同じ音。


『London bridge is falling down,
Falling down, falling down』


歌が聞こえる。
なんの歌だったかな…?


甘い匂いがする。
甘ったるい匂い。


そしてケモノのような息遣い。


ハー…ハー…
潜めるような、それでいて追い詰めるような。


俺は顔色一つ変えずにベッドの上に横たわる。
ベッドについている薄いカーテンがヒラリと舞う。

狭い暗い部屋。窓が開いている。
暗い青と歪な三日月。



絵の具のようなその色合い。

月明かりに映し出される影は口がニッと裂けている真っ黒なバケモノだった。

手には一本のロウソク。