怖い。
俺は必死で逃げた。どこに向っているのかわからない。
でも捕まってはいけない。
俺は必死で逃げて逃げて…。
足にズキッとした痛みが走って。俺はハッと目を覚ました。

ガバリと起き上がる。汗でシーツが湿っている。
辺りは真っ暗で。小さな息遣いが聞こえて隣を見ると、そこには彼が眠っていた。

「パパン……」

俺はもう一度ベッドにもぐりこみ、彼の胸に顔を埋めた。ぎゅっと体にしがみ付く。
そして、俺はもう一度眠りに落ちた。今度は怖い夢を見ないようにと願いながら。


だから。




彼の瞳が開いていたなんて知らない。