それから、俺は不思議な夢を見た。

闇の中で俺は一人立っていたのだ。でも不思議と恐怖はなく、ただ行かなくてはならない気がしていた。道なんてないのだけれど適当に歩を進めた。
小さな明かりが見えて。そこに近づくと少し開いた扉の漏れ光だとわかった。

俺はそっとその中を覗いた。
二人の男性がいた。だが、その二人は影のようでどんな人なのかまったくわからない。
耳を澄ました。
聞き取れない声をなんとか聞こうとする。

「無理だ……は、俺には……」

一人の男が頭を抱えていた。
もう一人が立ったまま見下ろしてその男に語る。

「もし、……が、……しまったら…俺は……」

「だが、お前は…………てるんだろっ?!」

何の会話か検討もつかない。


もっと、近づこうとして、俺は少し足を踏み出す。瞬間、ギッと扉が音を発した。
しまったと思うのと同時に俺は後ろに走り出す。
二人の男が追いかけて来る気配があった。