「こんにちは~」

俺は、ある酒屋にいつも寄る。もちろんお酒を飲みに来ているのではない。
実は、前にチンピラに絡まれた俺をここの息子さんが助けてくれたのだ。それから俺達は親友になった。彼の年端16歳。俺は嬉しくて街に来ると必ずこの店に寄る。

「いらっしゃい。坊や」

「あ、リリーさん。こんにちは」

リリーさんはこの店のママだ。長く美しい顔と完璧なスタイルと美貌の持ち主。
お客は彼女が目的で来ていると言っても過言ではない。

「あの、カイトはいますか?」

「いるわよ。カイトー!!」

リリーさんはよく通る耳障りのいい声で親友の名前を呼んだ。
すると店の置くからお酒を持った短い黒髪の少し日に焼けた肌の男、カイトが現れた。

「何?」

「お友達よ」

その言葉にカイトは目を輝かせた。

「ユウ~!!久しぶりだな!!」

カイトは乱暴にお酒を置いていった。リリーさんがそれを咎めるが聞く耳を持たない。

「な~リリーママ。ユウと一緒に遊びに行っていいか?」

カイトがキラキラとした目をリリーさんに向ける。リリーさんはそれに弱いのだ。
案の定、リリーさんは軽く溜息を吐いて、「すぐに戻って来るのよ」と言ってくれた。

「やっりー!!」

カイトはガッツポーズをして、俺と共に店を出た。
今日は日差しがとても強かった。だが、眩しいだけでそこまで熱くはなかった。