俺は込み上げる怒りを納めることができず、
握り拳を振りあげ、
今にも敦に殴りかからんばかりに腕の筋肉に力を込めた。

一瞬緊迫した空気が俺達二人の間に張り詰めた。

が、そう感じたのは、どうやら俺だけだったようだ。

「あ、殴る?

殴る気があんなら、ちゃんと『ケジメ』つけろよ。

俺はそういう一方的な行動は認めないよ。

ここでお前が俺を殴っても、それはお前自身のためでしかない。

それに、お前はキャプテンだろ?

こんなとこで喧嘩騒ぎ起こしちゃ、不味いんじゃね?」

悪びれもせず、にやけた顔で敦が言った。