去り行く高田敦の背中を見送りながら
あたしは、ほのかに熱を帯びた頬を触る。

この時点で、どうしたらいい……って悩むこと自体が問題だよね。

『あたしには好きな人がいる』

って、ちゃんと断んなきゃ。

って、もうそれは知れてることか……

じゃ、なんて断るの?

『あたしのこと、真剣に構ってくれないけど、それでもやっぱり忍のことが好きなんです』

って、どんだけあたし一途なの?

なんか、悲しくなってきた。

嗚呼、もう考えるのや~めた!

馬鹿らしい。

全くもって、これは何かの陰謀に違いない。

嗚呼、きっと、神様があたしの一途な思いを試すために与えた試練なのかも……