「ち、ちょっとま……」

気付いた時には、頬に暖かい何かが触れて、

「ひと目惚れなんだ……」

耳元で甘く囁かれた。

何? 何? 何が起こったのぉ~

あたし拒む間もなく、頬にキスされました。

突然のモテ期に、あたしは混乱していた。

だって、今まで忍一筋で、女扱いされないことに慣れていた。

『ひと目惚れ』って、あたしのことを最初から女として見てくれてたってことだよね。

「返事は急がない。でも、ちょっとは真剣に考えて貰えると嬉しいな」

高田敦は真剣な顔でそう言って、じっとあたしを見つめてくる。

(あ、この人、綺麗な顔してる……)

あたしは元来、面食いじゃない。

忍を見りゃ、わかるってもんだけど。

でも、やっぱり、こう綺麗な顔で見つめられると、クラっとくる。

「じゃ、僕も打ち上げに参加してくるよ」

そう言って、高田敦がこの場を切り上げてくれて、本当に助かった。