「でもさ、あいつは、いつもサッカー優先、チーム優先。今日だって、ナギサちゃんより、チームの打ち上げを選んだ」

こいつ、何言い出すんだろ……

「そ、それは、シノブがキャプテンだから……」

あたしはそれでもなんとか、反論を試みる。

「僕ならさ、ナギサちゃんの為なら練習もサボルし、こうやって女子応援団との打ち上げも抜け出せる」

「そ、それは、シノブに頼まれたからでしょ……」

こいつ、何が言いたいんだ……

「違うよ。
僕がナギサちゃんを送りたかったから、ナギサちゃんと一緒にいたかったから。
ね、シノブなんかやめて、僕にしない?
僕と付き合ってくれない?」

いつの間にか、あたしはしっかりと高田さんに手を握られて、じっと見つめられ身動きできない状況に陥っていた。