城南の校門で舞と雄一と別れ、
あたしは仕方なく、高田君と肩を並べて歩き出した。

だって、こいつ、勝手に付いて来るし……

「ね、ナギサちゃん、今日のシノブ凄かったでしょ」

何故か話題を忍に振る、高田敦。

「うん、中学の時より、ずっとスピードがついててびっくりした」

そうだよね、あれだけ毎日サッカー馬鹿やってれば当然かも。
あたしは今日の忍の見事なプレーを思い出し、ちょっとにやけた。

「僕達のチームはさ、シノブを中心に組まれてるの。
あいつにボールを集めれば、絶対に点を取れる。
身体はでかいのに、動きは細やかで、スピードもある。
おまけに常に冷静で、グランド全体に目を行き届かせることもできる。
誰もがあいつを信頼してるのさ」

あたしは、忍のことを熱い口調で語るこの高田敦という男をじっと見つめる。

忍のことを褒められて、悪い気がするはずがない。

「タカダさんはシノブのこと、良くわかってるんですね」

すっかり気を許したあたしは、いつの間にかなんだか親近感を持って、彼、高田敦の話に耳を傾けていた。