「サッカーしてる時は、ちょっとは括弧イイって思うんだけどね…
ナギサ、帰ろ。
もうここに居る意味ないし」

「うん……」

消え入りそうな、小さな声で渚が答えた。

「な、ち、ちょっと待てよ!」

「何? まだ何か用?
あんたこれから女子応援団と打ち上げでしょっ!」

飯島舞は今にも泣き出さんばかりに意気消沈した渚の腕をとり、ズンズンと校門目指して歩きだす。

「っきしょ……」

と、俺が拳にギュッと力を込め、渚の後を追いかけようと動き出した時

「俺が送ってく」

俺の肩をポンと叩いて、敦が俺を追い越した。

「な、なんだ? アツシ?」

「お前キャプテン、今日の功労者。
俺ただのミッドフィルダー、だから俺が送ってく。
打ち上げには遅れて行くから。
わかってるって、ちゃんと俺がフォローしとくから」

敦に任せるか……

単純にそう考えた俺はやっぱり
馬鹿
だった?