「ナギサ……好きだ……」

そう囁くのが精一杯で、俺の手はその肌を探りに乱暴に動く。

「やっ、シノブ……シノブ、やめてっ!」

気付いた時には、俺は渚に押し戻されて

『ドン』と冷蔵庫にぶつかった。

間抜けなことに、上から、ラップが落ちてきて頭に当たった。

「シノブの馬鹿……」

今にも泣きそうに目を潤ませて、渚が俺を睨みつける。

振り上げられた拳は、そのまま静かに振り下ろされて、渚はそのまま無言で部屋を出ていった。

俺はその間、固まったまま。

渚、なんで泣く?

俺、今何した?

俺、渚に何しようとした?