『シノブ、やっぱお前のケジメ、ついてねぇんじゃね?』

帰り際、そう囁いた敦の言葉が妙に気にかかる。

キュッ、と水道の蛇口をひねって、渚が皿洗いを終了した。

「じゃ、あたし帰るね」

振り向いた渚は、いつもの渚で、それがまた俺を苛立たせる。

「待てよ」

「何?」

「答えてねぇし」

「何?」

「お返し……」

「そんなのいらないって!」

そう言って泣きそうになる渚を、俺はもう何がなんだかわからす抱きしめていた。

小さく震える肩。

なんだこいつ、何を震えていやがるんだ……