追いかけて~恋の行方

「ま、用事があんだ。
ほら、ホワイトデーのお返し。
城西女子から城南サッカー部宛にバレンタインのチョコ、貰っただろ。
あれのお返し、俺が用意する係りなわけ。
来週はまた試合とか入るかも知れないし、行ける時に行っとかないとな。
だから、付き合え」

「なんだ……」

みんなのお返しの買い物か。
デートはついでなんだ……
あたしのテンションは一気に下がる。

「そのかわり、お前にもなんか買ってやるからさ」

「えっ、ほんと?」

アックンはあたしをドキドキさせたり、がっかりさせたり、嬉しくさせたり、ほんと忙しいね。

「嘘なんか言うかよ。
何がいい? 指輪とか?」

「城西は校則厳しいんだよ。化粧は黙認されてんだけど、指輪とかピアスとか、目に付くアクセは禁止なんだ。
あっ、でも、ペンダントならブラウスの下で隠せるし、結構みんなしてるよ」

「じゃ、ペンダントにするか?」

「うん」

「じゃ、腹も減ったし、ひとまず引き上げるか……」

先に立ち上がったアックンが、あたしに手を差し伸べてくれる。

両手を引かれて立ち上がったあたしは、その勢いでアックンの胸の中へ。

「ちゃんとおめかし、してこいよ。二時に駅前な」

頭の上から、優しい声が聞こえてきた。