『アックン』

うん、いいね、いいね、これいいんじゃね?

あたしは一人、想像の世界に浸っていた。

「レイ?」

先輩が黙ったままのあたしを不思議そうに眺めてる。

「アックン」

ニッコリ笑って、先輩を呼んだら、先輩が真っ赤になった。

面白い!

「アックン、帰ろ。あたし、駅前でアイス食べたいな」

「なんだそれ?」

あたしは嬉しくなって、アックンの腕にあたしの腕を滑り込ませ、彼女みたいにくっついて歩く。

「レイ、もっと離れろ」

「なんで? 彼女でしょ?」

「胸が思いっきし当たる。お前、結構、胸でけぇな」

あたしは、その言葉に、パッと腕を放して固まった。

「そんなことないよ……」

やだ、やだ、アックンに嫌われる……