「先輩、先輩、ねぇタカギ先輩!」

あたしは今日も、城南の校門で先輩を待つ。

「お前なぁ、何回言ったら覚えるんだ! 俺はタカダ。タカダアツシ」

あれっ、間違えた?

タカダとタカギ、似てるんだもん。

名前なんてどうでもいいじゃん、あたしにとっては、先輩は先輩なんだから。

あたしは、ちょっぴりムクレテ先輩を見る。

「あぁ、もういい。お前、名前で呼べ。名前。アツシだアツシ」

先輩に反対に睨み返された。

「えぇ~いいのかな? 先輩なのに?」

「お前、俺の彼女になったんだろ?」

そっか、彼女だもんね。

でも、呼び捨てはやっぱり失礼だから……

『アツシさん』、いや、あたしっぽくないでしょ。

『アツシくん』、って、感じじゃないよね。

『ア~さん』、はおじさんぽいか。

じゃぁ……