これって、奇跡だよね、と渚は笑って言った。

「奇跡が起きたから、今、あたしとシノブはこうしているんだよ」

俺は静かに頷いた。

今、笑って俺に寄りそう渚を見れば、信じるっきゃないって思うだろ。

「だから、また、指輪に願いを込めるんだ」

「今度はなんだ?」

俺の問いかけに、渚は真っ直ぐ俺を見ると、目を閉じて静かに口を開いた。

「シノブと結ばれますように」

俺は高鳴る胸の鼓動を抑えるのに必死だった。
が、それでも、平静を装って静かに渚の頭に手を載せ囁いた。

「あなたの願いは聞き届けられました」

渚の目から、一筋の涙がこぼれた。

俺はそれを拭うように、その瞼に口付ける。

渚の願いは、俺の願いでもある。

「ナギサ、いつまでも側にいろよ」

小さく頷く渚を、俺はしっかりと抱きとめた。