俺は、自分の手と渚の手を、マジマジと見つめながら考えていた。

いつからこんなに違ってた?

俺の岩みたいにゴツクてデカイ手と、
渚の細く華奢な小さい手。

交わす言葉は対等でも、
いくら強がり言ってても、
男と女って違うんだな。

渚の指に自分の指を絡めながら、この手にペアリングがはめた様子を想像してみる。

「あたしさ、小指の指輪がいいな」

俺の手を握り返しながら、渚がそう呟いた。

「左手の小指に指輪をはめると願い事が叶うんだって……」

そう言って、渚はバレンタイン前のあの日、渚と俺が偶然駅前で出くわしたあの日、駆け込んだ教会で出合った神父との不思議な話を俺に語り出した。