渚の顔が見る見る赤くなっていく。

「バレンタインのお返し、ペアリング買いに行くぞ」

「ほんと? いいの? シノブ恥ずかしくないの?」

「恥ずかしいに決まってるだろ」

俺はキッと渚を睨む。

「じゃ、なんで?」

「いるのか、いらねぇのか? グズグズ言うと、気が変わるぞ!」

「いるよ、いる。嬉しい……」

って、お前、また泣くのかよ……勘弁してくれ……
赤くなった渚は、今度は目に涙を一杯溜めて、もう今にも泣き出さんばかりだ。

「シノブ、アリガト」

さっきまでのバリアは何処へやったのか、渚が俺に抱きついてきた。

「お前なぁ、怒っても嬉しくても泣くのかよ……」

「そうだよ、悪いか……」

くぐもった渚の声が胸に響く。

俺はそのまま、渚をしっかり抱きしめた。