「良かったじゃん。まぁ、俺のおかげ?」

敦が、いつものようにヘラヘラと笑いながら言った。

「って、お前、ナギサにキスしたじゃないか!」

こいつは何処まで本気なんだか、時々わかんなくなる。

「ほっぺだろ? ケチケチすんなよ、減るもんじゃなし。挨拶、挨拶」

どこまでも悪びれない敦に、俺はため息を付いた。

「どうしたシノブ、ため息なんか付いて。
ここまで来たら、やっぱ次は指輪だろ? ホワイトデーまで、もういくらもないぞ」

俺の肩をガシッと掴んで、敦が俺に迫ってくる。

「は? まだ、この先へ進めと」

「ウジウジすんなよ、男だろ?」