五島さんは、そのまま後ろに倒れた。

手を殴られた顔に当てると。

「何するんだ貴様っ!!」

と、怒鳴った。

「すいませんねぇ。仲間の侮辱を聞いて、黙ってるほど、人間が出来てないんですよ」

と、大山先輩は、殴った手を振りながら答えた。

そしてまた、構え直す。

五島さんは、大山先輩を睨んだ。

大山先輩は、わざと五島さんの顔スレスレに、足蹴りをした。

ヒビが入るのではないかというくらいの、ドスッという音が、通路に響いた。

五島さんの顔は、一瞬にして、おののいていた。

大山先輩の攻撃を避ける事も出来ず、ただ立ち尽くしていた。

「五島さん、笑ってください?」

あたしは、五島さんに無表情に言った。

「五島さん、よく言ってたじゃないですか」

五島さんは、あたしをゆっくり見ると、放心状態から鬼の形相になった。

「かぁのぉおぉ!!てめぇ、何様のつもりだぁぁぁ!!!笑えだとぉぉぉ!!!」

五島さんは、あたしに掴みかかってきた。

あたしは、クルリとその攻撃を交わした。

五島さんは、そのまま前のめりに転んだ。

「……楽しくもないのに、笑えませんよね……。私が、笑わなかったのって、それだけの理由です」

「…………」

「それと、今の仕事場は、楽しんでますから」

「…………」

そういうと、あたしは、五島さんに背を向け歩きだした。

大山先輩は、五島さんに、何か話していたが、すぐにあたしに追いついた。

「欄」

大山先輩が、あたしを呼んだ。

「はい(^0^)?」

あたしが大山先輩を見ながら答えると。

「ブハッ(>_<)!」

と、大山先輩が、吹き出した。

「なんです?」

「何が、無表情だよ。ちょっとは、ポーカーフェース覚えろってんだ。フニャケた顔しやがって」

「ひ、ひどいですよ!」

「まったくなぁ」

大山先輩が、独り言のように呟く。

「はい?」

「……なんでもねぇよ」

大山先輩は、無愛想に答えた。

「なんです?」

「お前、アイツ嫌いだろ」

大山先輩に聞かれて。

「嫌いじゃないです。いろいろ教えてくれる、いい先輩です」