中毒な彼

「だから、窪田に何言われても信じたらあかんぞ。何回呼び出されても、行ったらあかん。危ない。」

大和は、真剣な眼差しで私の目を見てくる。

「な・・・何で危ないん?」

あまりにも真剣な眼差しだったため少し視線をそらした。

「あ〜危ないって言うのは・・・その・・・身体的というか精神的な損傷を負う可能性があるというか・・・・・。」

大和の声が段々ごもってきて最終的に何を言っているのか分からなくなっていた。

「何が言いたいの?」

痺れを切らした声がやけに大きくなった。

ごもっていた大和の声が止まり、何かを思い付いたような目つきで私を見た。

「だから・・・俺が言いたいのはお前が窪田に食べられるかもしれんってこと・・・・。」

「・・・・はぁ?意味が分からへん。人間同士やねんから食べるも何もないやろ?」

「はぁ〜」

呆れた顔をした大和が私から視線をそらし、また何かを思い付いたように私を見た。

「身の危険を感じたら即行で逃げろ。分かった?」

身の危険?・・・

「う・・・うん。」

よく分からないまま曖昧な返事を返した。

「じゃあ・・・・話ってこんだけ?」

紗英にこのことを伝えるため、シートの端にある靴を取って履きながら聞いた。

「話はこれだけ・・・・操、ちょっと待って。」

大和が靴を履いた私の腕を掴む。

「なに?」

振り向くと同時に大和が私を抱き寄せた。

「・・・・まだ寝てない。」

私の髪を撫でながら大和が小さく呟いた。

「分かった・・・おやすみ・・・」

いつものように大和の髪を撫でながら呟く。

彼の寝息が聞こえると共に睡魔が襲ってきていつの間にか私も眠っていた。

今でもほぼ毎日大和は、私を抱きしめて寝ている。