中毒な彼

非常階段に行くと、大和が踊り場にシートを広げて座っていた。

「話しって何?」

非常階段を一段ずつ降りながら大和に向かって投げかけた。

私の声に気づいた大和が顔を向けた。

「話って言うのは・・・・まぁ、座りながら喋ろう。」

真剣な眼差しで隣に座るよう促す。

大和の視線になるようしゃがみ込み隣にそっと座った。

「話って言うのは・・・・窪田のことや。」

やっぱり・・・・心の中で呟いた。

「あいつは、彼氏のいる女子でも自分が気に入ればどんな手を使っても落とす奴や。相手が気になるようなネタを持ち掛け、近寄り親しくなったら突き放して相手が喋りかけるまで待って、喋りかけてきたら殺し文句を言う。どんな相手でも落とす奴や。」

驚きのあまり目を丸くした。

「・・・な・・何でそんなに詳しいん?」

「あいつの手口は、知れ渡ってる。あいつの真似をしようとしたアホな男子がどれだけおるか・・・。」

大和は馬鹿にしたように鼻で笑った。

「お前はあいつに気に入られてるから特に注意したほうがいい。」

さっきの雰囲気とはうって変わって真剣な目で言ってきた。

「何でそんなことが分かんの?」

直後、大和が呆れたと言わんばかりの顔をする。

「はぁ・・・・朝のこと覚えてないんか?」

大和の言葉に私はあぁ〜と声を漏らす。