中毒な彼

「職員室に入ってきたお前の顔は尋常じゃなかったから、鞄なんて持ってないことぐらいすぐに分かった。」

それだけで分かるもんか?

と疑問に思ったが敢えて口には出さなかった。

教室に入って、鞄を取り出入り口に向かう。

「お待たせ。」

「ほな、帰ろか?」

「うん。」

下駄箱に向かう間、頭な中で“窪田君に会いに行こうか・・・・”と考えていたが大和に行かへんって言ってしまったことを思い出しその考えを諦めた。

下駄箱に着いて、外靴を履き校門に向かって歩く。

校門を出てから、しばらくして違和感を覚える。

鞄の中を見ると案の定、今日持って帰ろうとしていたワークが入っていなかった。

“やばい!!今日の宿題は、あのワークなのに・・・・”

そう思った時は、学校に向かって歩き始めていた。

「・・・・っておい!!どこ行くねん!」

その声とともに腕を引っ張られた。

引っ張られたことに驚いた私はとっさに振り返る。

「・・・・あっ・・・ごめん。今日、持って帰ろうと思ってたワークが入ってなくて・・・それで、学校に取りに帰ろうとして・・・・・。」

「そうやったらそう言えや。急に逆方向に歩き出すか何事かと思ったぞ。・・・」

大和は、少し早口で言った。

「あぁ〜ごめん・・・。今から急いでワーク取りに行かなんから先に帰っといて・・・じゃあ!」

そう告げると同時に学校に向かって猛ダッシュした。