「「キャー!!!!!!!!!」」


ただ歩いているだけの人たちに歓喜の叫びが朝から降り注ぐ

その中心はもちろん皇子と後皇子の友達
美沢春希
みさわはるき


朝から喉枯れたりしないのかな…



「薫風、あんた声に出てる」

「繭ちゃん」

この子は
佐和山繭
さわやままゆ


アタシの唯一の友達だ


「あんた皇子の近くに居てドキッとかキュンとかカッコいいて叫びたくなるときないの?」


「ない。助けてー!!って叫びたくなるときはあるけど」


アタシの言葉に繭ちゃんは目を見開いてから


はぁとため息を着いた後
一言


「皇子が可哀想…」


「いやいや可哀想なのはアタシでしょ!!」


「しかし凄い人気だねぇ…」

スルーっすか繭さん


しかし…ドキッねぇ


その時教室の扉が開いた

「おはよ」


皇子が来たのだ

クラスの女の子に笑いかける


昨日は何か悪い夢でも
見たのだろう。

昨日のドキッという感情は全く起こらなかった


そんな事思いながら先程皇子が居た正門付近をボーッと見ていると


「か、薫風!!」


「何?繭ちゃん」


振り向く前に背中から手が伸びて来てアタシはすっぽり包まれた


「おはよ薫風」


「ど…どうも」


なに!?


「うん。ところで何に見とれてたの?」


「いや…別に」


つか、離れろよ


女の子の視線が痛い

繭ちゃんはニヤニヤしている



おい助けてよだれか