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 コーヒーを一口飲んで、ヨドミちゃんは、唇を尖らせながら、手に持ったカップを無言で見つめた。

俺も一口、飲んでみる。

これこそが、コーヒーのあるべき濃度だ。

「おいしいね」

できるだけ自然を装いながらヨドミちゃんに聞いてみる。

ヨドミちゃんはカップを置くと、窓の外を見ながら目を細めて、

「ねえユウちゃん、なんでバラが綺麗か、知ってる?」

と聞いてきた。

「いや、しらないけど」

答えると、ヨドミちゃんは「ふっ」と憂いを帯びた笑みで目を瞑り、

「棘があるからよ」

と言って、再び目を開けた。目じりに涙がにじんでいる。