不自然な格好のまま、力任せに引っ張っられて、私は着いてくのがやっと。

一体、どこに連れて行かれるの?

聞いてみたいけど、言葉が上手く出てこない。

例えば言葉を発して、この人の怒りに触れたなら、もっと酷い扱いを受けるのかもしれない。

だから、怖くて……逃げられもせずに着いて行くしかないのかもしれない。

私は今、何をしなければいけないのか、この人は何を求めているのか、 分からない。

混乱中の思考回路で必死に考えようとしたその時、この人の背中が目に入る。

ドクン……ドクン……。

心臓が跳ね上がり、息が急に苦しくなる。

目の前に突如現れた、忌々しい映像……

甦る記憶。

「……く、る……しっ」

私の身体は呼吸をするのを遮断するかのように、空気を吸うのを拒み始めた。

苦しくて涙が零れる。

「おい、ちょ、お前……過呼吸?」

目の前に居る、私の腕を強引に引っ張っていた男の子が目を丸くする。

「過呼吸……えと、そうだ、紙袋!!お前、紙袋は……!?」