……ん?ヒロ君にもミヒロちゃんって呼ばれたけど何故??

まだ私の正体は話して無かったのに。先程、茜ちゃんが私の事をそう呼んだから??

……あぁ、そうか。

以前に手紙を見られた時に名前を知られていたのかもしれない。

「ミヒロちゃんが偶然に出会った海大は俺の一つ下の弟なんだ。茜ちゃんとミヒロちゃんが通っていた高校の後輩だよ。海大とミヒロちゃん、同じ名前の読み方も凄い確率の偶然だよね」

潤君がそう言うと裕貴君がすかさず、

「え……?ミヒロちゃんなの?すっごい、海大とミヒロ、正に運命の人じゃん!」

と言って、はしゃいでいる。

海大と心優。ミヒロとミヒロ。

漢字は全然違うけれど読み方は同じ。

私も知った時には飛び上りたい程に驚いた。珍しい名前だから、名字が同じよりも名前が同じ方がレア度が高い気がしている。

「俺も茜ちゃんも離れた場所で暮らしてたけど、もうすぐ一緒に住める事になったんだ。まだ2年先になるけど……、大学卒業したらすぐに籍を入れる。俺は茜ちゃんをこれからも守って行きたいし、出来れば……ミヒロちゃん達にも手伝って欲しいんだ」

潤君は色々と話をしてくれるけれど、茜ちゃんはずっと下を向いたままだった。以前の笑顔の可愛らしい、お花みたいな茜ちゃんでは無くなってしまったのかな……?

どうしてなんだろう。茜ちゃんは一度も笑わない。

潤君の言う、手伝って欲しいの意味は何だろうか?

「後は帰りの新幹線の中ででも、海大から話してくれると助かる。今日はわざわざ来てくれて有難う。それからミヒロちゃんに裕貴君、海大と仲良くしてくれて有難う。これからも宜しくな」

潤君は私達に優しく微笑んだ。

新幹線のプラットフォームまで二人は見送りをしてくれたが、茜ちゃんとは話せないままに別れの時間になってしまった。何も話せなかったけれど、新幹線が見える位置から手を振ってくれていた。

またね、茜ちゃん───……