もしも、茜ちゃんが高校に居てくれて、琴音ちゃん達とも仲違いしなければ、無事に卒業まで辿り着けただろうか?

ヒロ君と出会った時から少しずつ思い出している、高校時代の事。思い出しても、あれ以来は過呼吸にはならない。

茜ちゃんの居ないあの場所で私は一人で戦えなかった。"学校に行きたくない"───一度そう思ったら、引き返すのは難しくて逃げ出した。

その後、漫画家になったのだけれども、……漫画家になれなかったとしたら、どんな人生を歩んでいたのだろうか?

「今日は何も買い物して来れなかったんだ。材料はありそうかな?雨も上がったし、なければ買ってくるよ、ジャージだけどね」

と言って、ヒロ君は笑った。

締切後から買い物も行ってない。冷蔵庫は空っぽに近い……。

ヒロ君はいつも買い物をしてから来てくれる事がほとんどで、どうしても欲しい物はメッセージで送信している。今日は欲しい物メッセージもせず、空っぽだとも伝えてなかった。

冷蔵庫の中身を見たヒロ君は何もなさすぎて、黙り。しばし考えた後に

「……カナミちゃん、良かったらなんだけど、一緒に買い物行く?必要な物の買い出しもあるでしょ?荷物持ちするから」

と言われた。突然のお誘いに心の準備が出来ずに戸惑う。唖然としてしまい、言葉が出なかった……。