王宮の会議室では、葬儀の打ち合わせがなされていた。

王室の従事者、特に国王アルフレッドの死を知るものは全て集められ、新官房長官であるオウガから新しい事実を突きつけられる。


「そういう訳だ。
皆の者、くれぐれも間違いの無いように、事を取り計らってくれたまえ。」


国王の死は、その弟であるフェルナンド公爵の死としてその一切を摩り替える事・・・

それは、少なからず亡き国王に仕えてきた者にとっては、容易く受け入れられる事ではなかった。


「何故、そんな事を・・・」

若い従事者は呻いた。


「王室の取り決め事には、一切の疑問を持たない事。
それが、王室で生きていく為の絶対必要条件だ。」

白髪の従事者が一人ごとのように囁く。


王室の取り決めに反することは、即ち死を意味する。

しかし何故・・・。

国王の死を悼む事が禁じられた事に対する疑問は、小さな錘となって、それぞれの胸の奥底に沈んでいった。


従事者達は無言でその場を離れ、見えない鎖を足に引き摺りながら、その持ち場へと急ぐ。


国王アルフレッドの弟、フェルナンド公爵の葬儀の準備の為に・・・。