「え…ですからそれは先ほども申し上げた通り…」


「私はそんな事を聞いているのではありません。

ナユタがどうして、この厳重なセキュリティーの中、入り込めたのかを聞いているのです!」


アーリアは声を荒げる。


「そ、それは…」


「しかも、国王が誰かも分からない者の為に無防備にその扉を開けるなど・・・」


「義姉上、なにをおっしゃりたいのてす?」


「この王宮の中にその者を導いている者がいるのではないか、と言っているのです。」


「そ、そんな滅相もない…」


「そう言い切れるのですか? フェルナンド。」





リディアはその手をハッと引き寄せると、ポケットの中の物を強く握った。


そしてぐっと目を瞑り、静かにきびすを返した。