「お母様に言わなくては!

お母様に…」


リディアの足はふらふらと母アーリアの部屋へ向かっていた。



王宮の中は騒然としていた。

時折、パタパタと廊下を走る音があちこちで響く。

王宮には全ての灯りが灯され、静まり返った闇の中にまるで其処だけが宙に浮いているような錯覚を起こさせた。


リディアはアーリアのいる部屋のドアに手をかける。

すると、扉の向こうから朗々とした声が響いてきた。



「義姉上、もうその様にお嘆きにならないでください。

国王亡き後、この国を支えていくのは私達なのですから…。」


「フェルナンド、何故です?

何故ナユタなのです?!」


母アーリアの声は、涙を含みながらも凛とした響きを持って発せられた。