リディアの心の中に、言いようのない不安が押し寄せる。


(お父様が、お部屋を出られたのかしら・・・

でも何故・・・)


リディアは足を速める。


鳳凰の間の扉は、確かに人が一人入るくらい開いており、そこから、青白い月明かりが漏れていた。


部屋の明かりは消され、中はしんとしている。


「お父様・・・?」

リディアは小さく問いかけてみたが、返事は無い。



(ぁ!)

その時、足の裏に何か硬いものを踏んだような痛みを感じた。



(何?)

リディアは足の下のものを拾い上げてみる。



(ボタン・・・みたいだけど・・・)