Ⅹ(クロス)

リディアは真っ黒な布を織り続けていた。

その布からは緋色の小さな光の粒が溢れ、

それはリディアの手から腕へ…そして体を包み込むように広がっていった。


シュッ… トントン… 

ギギ…


大地の声が聞こえるのは…

私がナユタだから…

ラドニアの国民が蔑んできた…

ナユタだから…


シュッ… トントン… 

ギギ…


リディアの目からは透き通った雫が一筋、二筋流れては落ちる。


シュッ… トントン… 

ギギ…


ふと、リディアの手が止まる。