「土左衛門担いでくるかよ。バカ。
ブロス、毛布あるか?」

ユウリは少女の体からザックを外すとその華奢な背中と膝に腕をくぐらせて、ゆっくりと立ち上がった。

少女の濡れて束になった長い髪が 真っ直ぐに垂れる。


「・・・お、おい!
それ・・・その服、なんで光ってんだよ!」

カラスの顎の先にある少女の纏った黒い服は、まるで少女の呼吸と同期するように、断続的に緋色の光を放っている。


――ガタッ!


店の奥で傍観を決め込んでいたジャコスは、それを目にするなり立ち上がった。



「まさか・・・ クロスか・・・?」