「みんな、ちょっとここで待っててね。」

リディアは、見送りに来た子供達を中庭に待たせると、ロビーの奥でタバコを吸っているユウリに近付いていく。


「ねぇ、本当に大丈夫なの?」

リディアは、ユウリの顔を覗き込む。


「ああ。お姫様の車と分かってて乗るほど無神経じゃないんでね。

暗くなってから、ゆっくり下りるさ。」


「お姫様はやめて。 リディアでいいわ。

あ・・・それから、お芋ご馳走様。
とっても綺麗な色で・・・、甘くって・・・
あんなに美味しいお芋は、初めて食べたわ。」


「ラドニアのお姫様がよく言うよ。」

ユウリは呆れたように笑う。


「本当よ。
ねぇ・・・ユウリさん・・・」


「ぷっ。 ユウリでいいって。」


「じゃ・・・ユウリ、今度もしまた会えたら、ロトスの話を聞かせてもらえないかしら・・・?」


「もし・・・会えたら・・・ね。
あぁ。お安い御用だ。」


そう言うと、ユウリは大きな窓の向こうに動く、白い車の影に目を遣る。


「おっと。 お姫様のナイトが到着したようだぜ。」