女の子はゆっくりと顔をあげると、涙で濡れた瞳を綻ばせながら、小さく頷いた。


――たたたたっ

小さなお皿に湯気のたつ紫色の芋をのせて、ニコルが走り寄る。


「ね、食べよ?」


「これ! ニコル!
食堂で走ってはダメだと言っていますよ。」

シスターがすかさず注意する。

ニコルはびっくりしたように大きく目を見開くと、女の子に向かって肩をすくめ、ペロリと舌を出した。

リディアがくすっと笑う。

つられて女の子もくすくすと笑いだした。

笑いはいつの間にか食堂中に広がっていく・・・


天窓からは、一際明るい太陽の光が降り注ぐ。

それは子供達一人一人の顔を、明るく、温かく照らしていた。