食堂は、施設の南端にある。

大きく開けられた天窓からは、眩しいくらいの陽の光が、3列に並んだ大きな縦長のテーブルを照らす。

そこは、リディアの祖父が建築士に特別に命じて作らせた部屋だった。

食事は必ず明るい部屋でとらせるように・・・。
傷ついた者には、太陽の光が必要なのだから・・・と。


シスターとともに入ってきたリディアに、子供達がまとわり着く。

「姫さま! この絵本、とっても綺麗なの!」

「姫さま私、このお洋服にしみを作ってしまって・・・」

「姫さま、私逆上がりが出来るようになりました!」

「姫さま」 「姫さま」 「姫さま~」


リディアは、嬉しそうに目を細めながら子供達の言葉に一つ一つゆっくりと応えていく。

しばらくぶりに来たはずなのに、リディアの体はずっと前からそこにあったように、子供達の中に溶け込んでいた。


ふと、リディアはテーブルの奥にぽつんと座っている女の子に気付く。

女の子はじっとリディアを見つめていた。
その目は心なしか震えているように見える。

「あの子は、新しいお友達?」