――カツ カツ カツ

動力炉の冷たいリノリウムの廊下に、靴音だけが響く。


「こっちでいいのかな?リディアさん」

アーリアを支えながら歩くカラスが振り返る。


「ええ。おそらくジプサムの格納庫に近い所に、操作室があると思うわ。」


リディアは前方に並ぶドアの一つに目を留める。

「もしかして・・・」


そのドアの端は、まるで何者かにこじ開けられたようにグニャリと曲がっていた。

(あの霧の威力なら、このくらいの事は可能かもしれない・・・。)


「ここかもしれないわ。」

リディアは、ユウリを振り返ってその扉を指差す。


「あぁ・・・これは、ちょっとやそっとじゃ開きそうにねェな。」

ユウリはそう言うと、ポケットの中の小さな袋を取り出して中の黒い粉をパラパラとドアの下に撒く。