「お優しいのはリディア様も同じですよ。

リディア様の織られた布で、どれだけあの子達が救われたか・・・。

本当に不思議なのですよ。
あの布で作られた服を着ると、子供達がとても穏やかになる・・・。

ここに連れて来られた子供達は少なからず心に傷を持つものばかり・・・。
その心をリディア様の服は癒すのです。」


リディアはシスターを振り返って訊ねる。


「ケインから聞いたわ。

生活が厳しくて子供を預ける者や、精神的に追い詰められて子供を手放す親もいると・・・。

シスター、一体王国では何が起こっているの?!」


シスターは目を細めて海沿いに聳え立つコンビナートを見下ろしながらその顔を曇らせる。

「皆、何かに獲り付かれたかのように競い合っているのです。 

フェルナンド様が生産性の向上だけをこの国の目標と掲げてからは・・・。」


「叔父様は、何の為にそこまでして・・・」


「それは・・・ 私にも分かりかねます。

ただ、フェルナンド様にも、お考えがおありなのでしょう・・・。
今の私達には、それに従うことしか出来ません。」